― 自己受容の前に必要な「心の土台」づくり― 安心して「自分」を感じられる安全基地を育てる

心の土台づくり
私がカウンセリングの中で大切にしているものの一つに、「心の土台づくり」があります。
心の土台とは、簡単にいうと、
自分の中に「ここなら大丈夫」と思える安全基地があること。
何かあっても、ここに戻ってくれば大丈夫。
どんな気持ちが出てきても、自分を見捨てなくていい。
そんな感覚のことです。
自分を知るためにも、まず「安全」が必要です
自己受容というと、
「ありのままの自分を受け入れましょう」
と言われます。
でも、そもそも自分が何を感じているのか
わからなかったら、
受け入れることもできません。
何が好きなのか。
何が嫌なのか。
本当は何をしたいのか。
何が怖いのか。
誰と一緒にいたいのか。
そうした「自分」を知るためには、
まず、自分の内側に起きていることを
安心して感じられる必要があります。
人は危険を感じているとき、
自分の気持ちをゆっくり感じてはいられません。
相手を怒らせないこと。
嫌われないこと。
場の空気を壊さないこと。
失敗しないこと。
そちらを優先するようになります。
すると、
「私はどう感じている?」よりも、
「相手はどう思っている?」が先になります。
自分の気持ちを感じることより、周りに合わせることの方が大切になっていくのです。
だから、
自己受容することも、
自分の好きなものを知ることも、
自分で人生を選んでいくことも、
その前に、
安心して自分を感じられる場所が必要です。
私は、それを「心の安全基地」と考えています。

安全基地は、本来、人との関係の中で育ちます
子どもは、外の世界へ出ていきながら、
怖くなったり、不安になったりすると、
養育者のところへ戻ってきます。
そこで、
「怖かったね」
「大丈夫だよ」
と守ってもらう。
そして安心すると、
また外の世界へ出ていく。
この
出ていく → 不安になる → 戻る → 守られる → また出ていく
という経験を何度も重ねることで、
次第に、
「何かあっても大丈夫」
という感覚が自分の中に育っていきます。
ところが、
怖くても甘えられなかった。
泣くと困らせてしまった。
親の機嫌を自分が気にしなければならなかった。
自分がしっかりしなければならなかった。
そんな環境では、
安心して戻れる場所を十分に経験できないことがあります。
すると大人になってからも、
何もしていないと落ち着かない。
人の機嫌に敏感になる。
NOと言うと罪悪感を感じる。
人に頼ることが怖い。
自分の気持ちより、相手を優先してしまう。
といった形で表れることがあります。
これは、
安全基地がない中で、自分を守るために
身につけてきた生き方なのです。
大人になってからでも、安全基地は育てられます
安心感は、子どもの頃にしか育たないものではありません。
大人になってからでも、
少しずつ自分の中に育てていくことができます。
そのために必要なのは、
「もっと強くなること」ではなく、
安心して自分を感じられる経験を重ねること。
例えば、
悲しいときに、悲しいと思っていい。
腹が立ったときに、腹が立ったと認めていい。
わからないときに、すぐ答えを出さなくていい。
話したくないことは、話さなくてもいい。
助けてほしいときには、人を頼ってもいい。
そして、
自分を出しても関係がなくならない。
違う意見を持っても、見捨てられない。
弱さを見せても、大切にされる。
そんな経験も、安全基地を育てていきます。
セッションでは、
何かを急いで変えることよりも、
「ここでは、自分のままでいても大丈夫」
と思える関係をつくることを大切にしています。
その安心の中で、
「私は本当はどう感じている?」
「何が嫌だった?」
「本当はどうしたかった?」
と、自分の内側に少しずつ目を向けていきます。
そうすると、
それまでわからなかった「自分」が、
少しずつ見えてきます。
安心があるから、感じることができる。
感じられるから、自分を知ることができる。
自分を知るから、自分を受け入れ、自分で選べるようになる。
この順番をとても大切にしています。
心の土台が育ってくると、
「もっと自分を変えなければ」
と頑張らなくても、
少しずつ、
「私は私で大丈夫」
という感覚が自分の中に育っていきます。
そしてその安心を土台にして、
自分を大切にしながら、
人ともつながり、
自分の人生を選べるようになっていくのです。